老若男女を問わぬ問題
2025年問題とは、日本国内における65歳以上の高齢者の割合が、人口の3割をしめることによって起こるさまざまな問題のことを示す。その内容は多岐に渡っており、介護・医療に関係する問題はもちろんだ。それ以外にも、それまで社会を支えていた働き手の減少や若い世代の年金や医療費といった税の負担など、老若男女を問わずに何らかの壁に直面することであろうことから、早くから問題視されている。
例えば、熟練の技術を持つ労働者が一斉に退職することにより、さまざまな分野で技術力が低下し、最悪の場合は事故などを引き起こしてしまう可能性すらあると考えられているようだ。また、単純に労働力も大幅に減少してしまうため、2010年代から既に人手不足が問題となっている介護や医療の現場への影響も懸念されている。医療費が非常に高額となることに加えて、救急医療なども高齢者の増加に伴って件数が増加し、高齢者は元より小さな子供や若い世代も治療が遅れてしまう危険性もあるのだ。
このため、国は2025年問題を2000年代から提唱し、現場における雇用環境の見直しを行っている。それに加えて、高齢者の傷病率を低下させるための抜本的な健康対策の他、地域密着型で横のつながりを作るなど、さまざまな方面において対策が推進されているようだ。出産や子育てで退職した女性の再雇用なども、その一環といえる。女性管理職の増加を目指すことと共に、時短勤務や在宅ワークなど多様な働き方を受容する社会の形成が急がれている。